一般公衆には不親切、閣僚には親切?なパブコメ解説
環境省の省令改正案パブリックコメントが、異様に分かりにくくなっています。ジャーナリストのまさのあつこさんも「史上最悪のとっつきにくいパブコメ」と書かれていますが、法律の専門家ですらも首を傾げるような内容なのです。
関連情報を探していると、閣僚会議の資料があることが分かりました。
12月20日、「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議」という読んで名の如しの主旨の全閣僚会議が大きなニュースとともに開催されました。これだけでも、汚染土再利用がいかにビッグな「世界初の一大ナショナルプロジェクト」(国家戦略)であるか、同時にそれがいかに困難なものであるか、を表しています。
その閣僚会議ですが、実はその下に「幹事会」が置かれ、1月9日に開催されていることが分かりました。
福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議幹事会
そこでの配布資料には、パブコメにはない、こんな資料があります。
(参考資料)再生利用基準省令案の概要 [未定稿]
この部分はパブコメではこうなっています。
本パブコメでは縦書きで「とっつきにくく」なっている上、四角の枠の中の部分がありません。パブコメが分かりにくい原因の一つは、「法第何条何項何号の何々の規定による」などが多用されていて、法律や省令を逐一辿らなければならないことです。しかしながら閣僚に対する資料では、辿らなくても良いように親切に引用されて明示されており、しかも余計な部分を省いて「ここだけを読めば分かります」と言うように「あんちょこ」的にまとめてあります。(未定稿とは言え)
なぜパブコメにはこのような解説がついていないのでしょうか。
ただこの解説は汚染土再利用の部分だけで、埋立処分についてはありません(パブコメにはあります)。汚染土再利用そのものが目的化しており、閣僚会議がそれを目指したものだからでしょう。「除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議」と銘打った閣僚会議であり、「国家戦略」でありながら全体を見ず、個別の目的だけを見る、これも拙速でご都合主義的なものに見えます。
パブコメの条文案には、法令をいくら辿っても意味不明、「法律の専門家ですらも首を傾げるような」表現が散見されますが、長くなるので別の機会に譲りたいと思います。
それから、放射線審議会の答申も出ていない中でパブコメに踏み切ったこと、新宿御苑でのヒアリングの際にパブコメ実施時期について聞かれた環境省が、「まだです」と答えながら、翌日から実施したことなど、一般公衆には極めて不親切というか悪意すら感じる姿勢であることも付記しておきます。
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