汚染木利用拡大へ 住友林業など進出、エフレイが後押し
いわき市の四ツ倉工業団地に住友林業など大手企業が進出することが明らかになりました。 国は、帰還困難区域に残る放射能汚染された森林利活用を進めようとしており、企業進出はこの時流に乗ったものです。環境省は原発事故によって放射能汚染された森林の除染を行わず、民間のバイオマス発電燃料などに活用していく方針としました。今回は、人の立ち入れない帰還困難区域でひどく汚染された森林が大規模に利用されることになります。
(以下、引用)
いわき産木材で関東に賃貸住宅 大東建託が調達方針、26年3月稼働の工場から:福島ニュース:福島民友新聞社
賃貸住宅建設大手の大東建託(東京都)が、関東地方の賃貸住宅建設に使う製材を来年3月にいわき市で稼働予定の木材加工工場から調達する方針であることが分かった。現在は輸入材を使っているが、安定的な供給体制構築のため来年以降、同工場で製造される国産材に順次切り替える。工場では同市や近隣から原木を集める予定で、県産材が関東の住宅で広く活用されることになりそうだ。
工場は住友林業(東京都)などが出資する「木環(こわ)の杜(もり)」が同市のいわき四倉中核工業団地に建設中。
(略)
大東建託は国産材への転換で同市産材などの扱いを増やして林業を活性化させるとともに、伐採と植林を促すことで森林を若返らせてCO2吸収量を増やし、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を推進することも目標に掲げる。技術開発部の岡本修司次長は「これまでは木材を使う立場でしかなかったが、森林サイクルの循環に寄与し、福島県および周辺地域の林業活性化に向けた取り組みを進めたい」としている。(略)
(引用ここまで)
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(以下引用、太字筆者)
帰還困難区域の森林整備 国が被ばく抑制のガイドライン策定へ|NHK 福島県のニュース
国は、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、放射線量が比較的高いとして帰還困難区域に指定されている地域で、森林の整備を進めるため、令和7年度中に作業中の被ばくを抑えるためのガイドラインを策定することにしています。
(略)
この森林の除染について、国は、落ち葉などの堆積物を取り除くと土砂の流出など悪影響が懸念されるとして行わない方針ですが、おととし以降、各地で「特定帰還居住区域」が設けられたことから、林野庁は、住民の帰還や林業の再生を見据え令和8年度から森林の管理を再開する方針で、令和7年度中に作業のガイドラインを策定することにしています。
ガイドラインには、作業員の被ばく量を抑えるため、屋外で行う木の伐採や工作機械の操縦といった業務の種類ごとに作業時間の目安を示すほか、作業中は個人線量計を携行することなどの注意点を盛り込むということです。
林野庁は「特定帰還居住区域の周辺で優先して森林を整備し、帰還する住民の安心につなげたい」としています。
福島の帰還困難区域の活動自由化 | カナロコ by 神奈川新聞
自民、公明両党は4日、東日本大震災からの復興に関する第14次提言を石破茂首相に提出した。東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域で、個人による放射線被ばく線量管理を前提に、活動の自由化を検討するよう政府に求めた。手つかずとなっている森林の整備などを進める狙い。現状では立ち入りに許可が必要で、活動できる内容に制限がある。
福島県内には原則立ち入り禁止の帰還困難区域が7市町村に残る。多くが森林で、境界にはバリケードが設置されている。活動自由化は、林業関係者らが線量計を身につけ安全を確保した上で、森林作業などに当たることを想定している。
浪江町に建設が進む「福島国際研究教育機構(F-REI)」は、汚染された森林利活用の研究開発にも研究費を出しています。R5年度からの外部「委託研究」の一つに、住友林業が入っています。
【公募終了】令和5年度「福島国際研究教育機構における農林水産研究の推進」委託事業|事業・研究|福島国際研究教育機構 (F-REI)
R5年度 応募1件当たり3,000万円(上限)R11年度まで(⇒7年間で2億1,000万円)
上記は、R5年度からR11年度までの委託研究です。枠外に「R6に新規公募を実施:・土地利用型農業における超省力生産技術の技術開発・実証、・林業の自動化に資する技術開発・実証(提案公募型募集)」とあります。
下記は、R6年度からR11年度までの委託研究です。同テーマでR6年から研究費が一気に増えたことが分かります。
令和6年度「福島国際研究教育機構における農林水産研究の推進」委託事業|福島国際研究教育機構 (F-REI)
林業の自動化に資する技術開発・実証(提案公募型募集)
令和6年度予算規模:10,000万円程度を上限 (⇒6年間で6億円)
R6年度の委託先は、現時点では公表されていません。どこの企業・団体が受託するのでしょうか。
この研究に限らず、森林関係のF-REIの研究は多岐に及び、農林業とエネルギー分野(またはロボット、放射線分野)が複合的に絡んでおり、数多くの事業体の参入が見込まれます。
このように今後、帰還困難区域の森林が大々的に伐採され活用されることになろうとしていますが、地元の住民からは、伐採による空間線量の低減につながるため歓迎されるかも知れません。
もっとも汚染されている樹皮や枝葉などは、飯舘村蕨平にあるバイオマス発電会社が、燃料として利用する可能性があります。同発電会社はすでにこれまで汚染され使えない樹皮などを燃料としています。(火災事故について再質問書を提出しています)
汚染土の再生利用とともに「有効活用」の名で広くバラまき、原発事故などなかったことにしたいのだと言わざるをえません。
福島県は林業職員の募集を進めています。
令和7年度福島県職員・林業職オンラインセミナーを開催します!(第7回~第12回) - 福島県ホームページ
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