最終処分は最大7億ベクレル、ドラム缶25本分 環境省が20日に考え方を公表
★更新情報 最下段に遠藤和人国立環境研究所廃棄物・資源循環研究室長の土木学会での研究発表スライドのリンクを追加しました。
2025年1月11日の福島民友一面トップに以下の記事が掲載されました。
2025/01/11 07:50 有料記事
東京電力福島第1原発事故後の除染で出た廃棄物の最終処分を巡り、国立環境研究所が実現可能な技術的選択肢を検討し、3案にまとめたことが10日、分かった。最終処分対象物の放射能濃度は1キロ当たり9万~7億ベクレルで、濃縮して体積を減らす「減容化」を最大限実施した場合、廃棄物量は13トン(ドラム缶25本分)と小規模になる。環境省は20日にも最終処分の考え方を公表する方向で調整しており、この研究成果を参考...
上記は3つの案を並べていますが、最もお金をかける「最大濃縮」シナリオになる可能性が大だと思います。
上記の表によると、最終処分量が13トンの場合、49万トンの二次廃棄物が出ると試算していますが、これは最終処分に入らず、これも再生利用される可能性が高いです。実際そのような実証研究をこの14年間これでもかと実施しているのです。
こうやって放射能をこねくり回すほど、どんどんお金が落ちるわけです。原資はもちろん私たちの税金です。
以下、民友の紙面より、ポイントと関連情報を列挙します。
●7億ベクレルは「低レベル」に相当、コンクリートの遮断型処分場に
現在の放射性物質汚染対処特措法には、7億ベクレルのような高濃度の基準はありません。以下の有識者ワーキンググループ資料には、除染の関係なので同法で扱うとしています。
●「省令改正」という問題
同紙記事によると、環境省は1月20日に最終処分の考え方を公表する予定であるということです。これは、これまでの「汚染土再生利用の基本的考え方」と同様、まず考え方や基本方針を出して、省令改正につなげるという段階を踏んだ手続きです。本来は国会審議や国民的議論を踏まえた上で法改正が必要であることは、これまで再三にわたり環境省に求めていることですが、ないがしろにされています。
環境省が公表している「戦略」や「工程表」の中にも、「基本的な考え方」「手引き(ガイドライン)」を策定することしか書かれていません。環境省や専門家らは、法改正が必要であることを知りながらサボタージュしているわけで、組織ぐるみの悪だくみと言わざるを得ません。ある専門家の方の話では、原子力関係はほとんどがこの手続きによるそうです。
近年制定された重要な法律に、重要事項が法律の本文ではなく省令に盛り込まれることが相次ぎ問題となっていますが、汚染対処特措法も同様で、省令にすら書かれずガイドラインに落とし込むようになっています。そればかりか、2020年の省令改正案のパブリックコメントでは、ガイドラインの存在すら伏せられていました。
●放射線防護の考え方
資料2-2_各ワーキンググループ等の検討状況
・最終処分における作業者の被ばくは、可能な限り年間1ミリシーベルトを超えないことが望ましい。
・事故時の一般公衆の被ばくは、1件の事故当たり5ミリシーベルトを超えないこと
とされています。これ以下は許容せよということです。
●年間1億円の「戦略的研究」 成果は非公開
今回発表された研究成果は、環境省の「環境研究総合推進費」で3年間実施されたものであり、研究者は国立環境研究所福島地域共同研究拠点の遠藤和人廃棄物・資源循環研究室長です。遠藤氏は環境省ワーキンググループの常連です。以下関連資料
(別添資料2)令和4年度戦略的研究開発領域課題(SⅡ-9)の公募方針
保高発表資料2023-01-20(配布版) 2023年1月20日 減容化・再生利用と復興を考える知のネットワーク併催企画 第19回講演会「中間貯蔵の現在と福島県浜通りの復興の新たな展開」環境総合推進費SⅡ-9 中間貯蔵施設周辺復興地域の融合的な環境再生・環境創生に向けた研究の紹介
研究成果は、研究者自身が管理し、一般公開はしないことが原則となっているようです。
keiyaku_5_6.pdf
土木学会発表スライド(1月12日追加)注:一部のグラフが反転しています
出典 土木学会全国大会研究討論会(エネルギー委員会主催)2024年9月4日
エネルギー委員会のメンバーは、9電力と傘下の企業、研究所、ゼネコン、経産省で占められています)
原発事故後始末政策で、大勢の被害者を放置しながら多大な税金を使って行われた研究であるにも関わらず、研究成果を非公開にするというのも、あまりに理不尽で不誠実ではないでしょうか。
この問題を今後も追及していきます。
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