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中間貯蔵施設に新たな受入分別施設214億円 説明あいまい

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  4月22日に本ブログでお伝えしました、 中間貯蔵施設に新たな受入分別施設 4つの工区を拡張予定  の落札価格が一部公表されました。 受入・分別施設の例  双葉①工区 | 中間貯蔵施設情報サイト:環境省 000341652.pdf 大林・大本・西部JV  214億円(4年間)  工事場所は福島県双葉郡双葉町地内 外 となっています。予定では双葉町側と大熊町側両方に整備することになっているので、大熊町側はこれから決定されると思われます。  大林組はこれまで受入・分別施設+土壌貯蔵施設のセット(1工区あたり平均1千億円超)を2つの工区で受注しているほか、双葉町側の仮設焼却施設のうち仮設灰処理施設を受注しています。この仮設施設は双葉町側のみで7千億円を超えています。  巨大な仮設灰処理施設を建設している様子。おびただしいクレーン車は、まるで都心部の高層ビル建設工事を連想させます。   福島・双葉町の中間貯蔵施設で震災復興を加速 | OBAYASHI Thinking|大林組    今回の新たな受入・分別施設は、これまで使用していたものを全面撤去して新たに建設することとなりましたが、これについて部品交換で済むのではないかと環境省ヒアリングで質してきました。しかし説明はまったくあいまいなものでした。  元プラント技術者の青木一政さん(ちくりん舎)のコメントです。  中間貯蔵には受け入れ・分別施設と焼却炉、埋設場所までの長大なコンベアライン等立派な設備が設置されていた。それらは皆撤去された。新たに受け入れ計画があることが分かっていながら何故、撤去したのか昨年質問した。その時の環境省資源循環局のS氏の答え。  「まず、耐用年数というのは、例えば、ベルトコンベアで言えば、大体2、3年ぐらいに交換で、それを過ぎても騙し騙し使うことはできるんですけれども、そういった維持管理の費用がどんどんかかっていって、要は、費用が当初動き出した時よりは、年間どんどんどんどん維持管理の費用が重んで・・」 と悪徳リフォーム業者の言葉をそのまま、繰り返すような答えだった。  フレコンバックカッター歯やコンベアベルトなど消耗品は変えれば良い。しかし、解体施設の建屋設備や、長大なコンベアラインの鉄骨構造設備などは数十年も使えるはず。そもそも、原発を40年から60年も使おうと言っている一方で...

汚染土を使う陶芸、土壌の販売も 若者による「風評払拭」プロジェクト続々

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 廃炉や除染関連などの膨大な原発事故後始末事業に加え、復興政策「福島イノベーション・コースト構想」と称する産業復興のために莫大な予算が投じられています。最近目立つのが、国の事業「地方創生」による若者を対象とした被災地イベントと移住の呼びかけです。地方創生のほとんどは東京に本社を置くコンサルが手掛けているようです。  福島でのその数たるや、日々情報を追いかけても到底収集しきれないほどですが、中でも本ブログがテーマとする除染・廃棄物関連で、これは特に問題と思われるものを上げてみます。   【8/16(土)開催】双葉町の土で陶芸体験!  | HAMADORI CIRCLE PROJECT (以下、本文より引用) 合同会社toten として、HAMADOORI CIRCLE PROJECT(https://hamadoori-circle.com/)に採択いただき、福島県双葉町が抱える土壌の問題に対し、アートの視点から可能性を拓く「未完成の陶芸プロジェクト(別称:FUTABA TOUGEI PROJECT)」をおこなっています。 プロジェクトの背景 2011年の東日本大震災で全町避難となった双葉町は、今も課題に直面しています。 その一つが、町の面積の多くを占める中間貯蔵施設に保管されている、膨大な量の土壌や廃棄物です。 この土壌は、かつて農業や畜産で町を支え、快水浴場百選に選ばれるほどの海水浴場をつくり、伝統工芸品「大堀相馬焼」の粘土としても使われたことのある、とても豊かなものです。 しかし現在は、放射能汚染や県外最終処分に関連する報道などネガティブなイメージと分かちがたく結びついています。 本プロジェクトはこの「土」を安全かつ創造的に活用する一つの事例となることを目指しています。 (略) 主催 : 合同会社toten 協力: 相馬妙見初発神社・東北大学・福島大学 復興・再生まちづくり研究コンソーシアム (引用ここまで)    合同会社totenの共同代表 川上友聖さんの紹介ページが「 双葉町移住・定住情報サイト 」にありました。これによると、川上さんの祖母は浜通り出身で、叔父は原子力発電所に勤めておられたものの、ご自身は浜通りとは縁遠かったとのこと。転機になったのは、 立命館大学の「チャレンジ、ふくしま塾。 」。地域で活躍する人や様々な事業に触発され、双葉町に拠点...

汚染土再利用か 大玉村スマートインターチェンジ整備計画

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 8月12日の日経新聞に、 始まる除染土再生利用、埋め立て・盛り土が候補 課題は地元理解  という記事が掲載されたことをお伝えしました。   日経記事(8月12日)汚染土再利用 福島中通りスマートIC、道路盛り土が候補 記事(有料)によれば、福島県内でも 中通り地域のスマートIC計画を巡り、政府関係者が汚染土の活用に向けて動いている 。とはっきり書かれています。  9月26日、国やNEXCO東日本を交えた地区協議会が大玉村で開催されました。  用地は、国道4号にほど近い大山地区で、商業施設があり、岳温泉にも通じるため、地元は歓迎している人も多いようです。 大玉村の東北道のスマートICは早ければ年度内に国の新規事業に採択へ 村の活性化や利便性の向上に期待する声(福島)(KFB福島放送) - Yahoo!ニュース 大玉村HPによると、同地区協議会は密室的な形で開催されたことが分かりました。 第1回(仮称)大玉スマートインターチェンジ地区協議会を開催します | 村からのお知らせ | 福島県大玉村ホームページ 「・会場の都合により、一般の方の傍聴は出来ません。  ・当日の配付資料は計画段階の資料のため、関係者以外は非公開とします。 」  税金で行われる公共事業であり、地元の方々だけでなく多くの人達が日常的に利用する場所で、まして汚染土利用などもってのほか。きちんと 透明性を持って公開の場で議論することを強く求めます 。

「復興再生利用」の表示はどうなっているの?

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中央官庁の花壇等での汚染土再利用が始まりました。 9月16日の復興庁発表です。 伊藤復興大臣、鈴木復興副大臣の霞が関中央合同庁舎第4号館での除去土壌の復興再生利用の視察(令和7年9月16日) | 復興庁 下の写真にある花壇に小さな表示がついています。拡大してみました。   不鮮明で、正確かどうか分かりませんが 「 復興再生利用実施場所   実施事業者 名:環境省 ⇒ 除染実施者 名:環境省  との指摘がありました  連絡先:********* 」 とあるように見えます。 復興再生利用にかかるガイドライン  (2-26)では、表示の記載事項の基本として、 ⚫ 復興再生利用実施場所であることの記載  ⚫ 除染実施者名と連絡先  を明記することとし、 このほか、除染実施者は表示の目的を踏まえ、復興再生利用の目的や意義、空間線量率の測定結果といった関連情報の表示又はこれを確認できる環境省ホームページへのリンク等を表示に記載することが考えられる。 としていますが、目的や意義、空間線量率などはなく、最低限の記載に留めているということです。 このことからも、環境省の「責任を持つ」の意識レベルが現れていると思います。 懸念していたとおりに・・・

中央官庁9か所での汚染土再利用 VOREWSが1億円で受注  

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  8月26日(火) 「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議(全閣僚会議)」(第3回) が開催されました。  これまでの全閣僚会議資料は こちら  ここで 福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた復興再生利用等の推進に関するロードマップ(案) などが公表されましたが、「復興再生利用」については、 (2030 年頃に目指す姿)  2030 年頃に、県外最終処分の実現に向けて、実用途における復興再生利用の目途を立てる    と書かれており、5年近く間があることが分かりました。その間に先行して、霞が関の中央官庁の花壇等への利用をこの9月から行う計画が明らかになっています。   霞が関の中央官庁の花壇等への利用場所  9か所  どれも花壇程度の少量で、使う汚染土は最大28㎥、最小1㎥、合計79㎥です。  この工事を受注したのは、 Vorews 除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合  であることが分かりました。いくらで受注したのでしょうか。 000333950.pdf  約1億円です。これは適正価格なのでしょうか。  一般的な園芸屋さんに発注する際の土壌入れ替え費用を色々なサイトで検索してみたところ、例えば こちらのサイト によると   5㎥ 40,000円(税別) 13坪に10㎝分 となっており、これに重機使用、運搬、元の土の処分費用などがかかりますが、足してもせいぜい数百万円程度で、どんなに多く見積もっても1か所1千万円はかからないと思われます。  さらに、これまでにもお伝えしてきましたが、 少なく見積もって後に加算する方式が常態化 しており、当初の2倍、3倍に膨らむことも珍しくありません。その最たるものが、中間貯蔵施設であり、 当初1.1兆円からすでに2.2兆円 に膨れ上がっており、まだまだ膨張すると見られます。 除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合(VOREWS)の実証事業とは ③    汚染土再利用はもちろんやってはならないことですが、もしゼネコンでなく園芸屋さんに発注していたら、億単位の金額にはならないはずです。  放射能拡散とともに、お金の流れを注視していきましょう。 9月18日追記) 放射能拡散に反対する会のメンバーより、疑問が呈されました。 実証事業ならぬ 「令和7年度除...

日経記事(8月12日)汚染土再利用 福島中通りスマートIC、道路盛り土が候補

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  8月12日の日経新聞デジタル(有料)に、 始まる除染土再生利用、埋め立て・盛り土が候補 課題は地元理解   という見出しの記事が掲載されました。  林官房長官は今月内に最終処分に向けた 工程表を公表 する意向を示していますが、日経の記事はこれに先行して以下の2つの具体的な候補を伝えています。 ①海面埋め立て ②高速道路、国道の盛り土 (以下、要約) ①広島大学工学部の研究チームが、工場廃水に含まれる有機水銀化合物で港湾が汚染された熊本県水俣市の事例などを参考に海面埋め立て処分に利用した場合のコストを試算した。汚染土に含まれる放射性物質が海中に漏れないよう遮水材に詰めて埋め立てると、通常の土を使う埋め立て事業と同程度の費用に収まった。 ②高速道路のインターチェンジ(IC)は全国の自治体で誘致活動が相次ぐ。福島県内でも 中通り地域のスマートIC計画を巡り、政府関係者が汚染土の活用に向けて動いている。 土木関係者によれば、公共事業が盛んだった高度成長期に比べて 土壌は手に入りにくい という。 山を崩すなど環境問題に対する高まり などが背景にある。  福島県は土建業者が多く、特に3.11以降、道路建設が引きも切らない状況ですが、中通りのスマートインターチェンジ計画とは、すでに整備が進み切っている中で、これ以上一体どこに造るというのでしょうか。 2022年現在のスマートIC    福島県の道路計画を探しましたが見つけることができませんでした。一つ上げるとすれば、福島空港と相馬港・小名浜港の3つの物流拠点へのアクセス道路整備が強化される可能性でしょうか。 福島県新広域道路交通ビジョン【概要版】2021年6月  現時点でこれ以上の情報はありませんが、注意すべき点として、 「高度成長期に比べて土壌は手に入りにくい」 「山を崩すなど環境問題に対する高まりなどが背景にある」 を挙げたいと思います。 <疑問1>土壌が手に入りにくい?  まず、公共事業の残土が全国で問題となっていることは周知の事実であり、その最たるものが28人もの死者を出した熱海の土石流であったことは記憶に新しいところです。桁違いのリニア残土も渦中の問題です。 <疑問2>「山を崩すなど環境問題」があるから、いま中間貯蔵施設にある汚染土を使う方が環境によい?  これは、脱炭素ビジネスに結び付けたいという意図がある...

奈良県の56団体が奈良県知事に汚染土受入れ反対の要請

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  奈良県で汚染土受入れに反対する知事宛ての要請行動が56団体の連名で行われました。 2025年3月11日の読売新聞による都道府県調査で、汚染土の最終処分場受入れについて 秋田、千葉、兵庫、奈良、宮崎 の5県が「 条件次第で検討 」の意向を示したことに対するものです。  全国でぜひこの動きを広げて行きましょう。 (以下、クリックで拡大) 要請文は こちら よりダウンロードできます。 (以下、抜粋)  添付の文書は、3.11原発事故当時に環境省の実施した「震災がれき広域処理」に対する当時の山下生駒市長(現奈良県知事)の見解がまとめられたものです。放射能を含む震災がれきの受け入れを、必要性、経済性、安全性の観点から検討した結果、受入れないとの決定に至ったことが綴られています。市民目線で極めて真っ当と言えるものですが、残念ながら知事としての見解は変質してしまったように見えます。生駒市長時代の市民の声にきちんと向き合う姿勢を強く望むとともに、全国の首長にも真摯な姿勢を求めたいと思います。