第22回環境放射能除染学会講演会「産官学をつなぐ技術」
2026年1月22日、環境放射能除染学会とJESCO共催の講演会が開催され、オンラインで視聴しました。テーマは「復興再生利用・最終処分に向けた産学官をつなぐ技術ネットワークの構築」です。(オンライン視聴113名)
産官学の一体強化は戦前回帰と言われ、今の軍拡の流れに沿うものです。そもそも行政や教育は公の利益のために存在するのであり、特定企業のために働くことを当然のようにひけらかすなど本来あってはならないことのはず。企業の利益を優先するということは、公害規制の骨抜き化であり、そのツケは環境と住民に転嫁されるということを忘れてはならないと思います。
第22回講演会開催のお知らせ / 一般社団法人 環境放射能とその除染・中間貯蔵および環境再生のための学会(通称:環境放射能除染学会)
【プログラム】
講演1 環境省 環境再生・資源循環局
講演2-1 国立研究開発法人国立環境研究所 遠藤和人
講演2-2 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 川瀬啓一
講演3-1 除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合(VOREWS) 松尾寿峰
講演3-2 株式会社三菱総合研究所 篠崎剛史
講演4 中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO) 宮林哲司
総合討議 復興再生利用・最終処分に向けた産学官をつなぐ技術ネットワークについて
進行役:国立環境研究所 大迫政浩
残念ながら資料の掲載はなし。
概略は、産と学は待っているのに、環境省がいつまでたっても具体的な見通しを示さないため待ちくたびれている。早く具体的なプランを示して投資をするべきだ、つまり汚染土再生利用を実施する場所を早く示して必要な資金配分をしなさい、さもなければ学術の知見は廃れてしまうし、企業は人材をほかの分野に配置してしまう、というものでした。
(以下、ざっとメモしたものです。ご参考まで)
■講演
JAEA)川瀬さん
(これまでの研究と実証事業の成果報告のあと)情報公開、説明不足により、反対運動が活発に行われてしまった。課題は透明性の確保だ。
⇒2012年に設置された鮫川村の仮設焼却炉は、JAEAと環境省が村長にアポなしで訪問したことから始まり、私達地元の住民は全面的に反対運動を展開しました。この経験を経て透明性の確保はどう実現しているのでしょうか。
VOREWS)松尾さん
これまで環境省とJESCOから計17件の受注をした。
南相馬市の盛り土実証事業では、1,312名の見学者(地元の高校生以上)があった。
福島工業高等専門学校に対し、花畑づくりの費用を支援した。
~大熊町・花舞台~大熊町民との花畑作りと放射線の勉強会を実施しました - 福島高専:National Institute of Technology, Fukushima College
(要約)本校では理解醸成活動の一環として「大熊町・花舞台」作業を令和2年度から実施、昨年度と今年度は、除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合(VOREWS)の支援のもと、本校学生と地域住民が共同で花畑を作りながら交流、除去土壌の再生利用について学んでいる。作業後の懇談会において、放射線の勉強会が行われ、霧箱を用いて実際に放射線(アルファ線)が通った跡を観察し、放射線に対する理解を深めた。
一般社団法人全国高等専門学校連合会より感謝状をいただきました。|Vorews 除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合
三菱総研)篠崎さん
元「除染・廃棄物技術協議会」の事務局を担当。(同協議会は2011~2018年までで、その後VOREWSへ体制変更)スピンアウト事業として相双スマートエコカンパニーができた。
JESCO)宮林さん
これまでで62件の実証事業を実施した。
■パネルディスカッション
進行 国立環境研)大迫さん
国はもっと投資を行い、見通しを示すべきだ。そうしないと産と学の断絶が起きる。環境省は、無駄なところはあっても(それには目をつむって)もっと投資しないと、産業界は踏み込めないので、見通しを(早く)示して、学と一緒に提案し、仕掛けをすべき。環境省からのメッセージをもっと出さないと、モチベーションが維持できない。(大迫さんは「投資」を少なくとも計3回発言)
国立環境研)遠藤さん
研究者にとっては、自由に研究ができることが大事で、それが満足感を得られることにつながる。国のロードマップが2030年までと定められた(略)。今技能者が減ってこの分野で公募しても応募がない。効率化とコストを抑えることが求められるが、やりにくい。技術は一つではなく複数組み合わさって出来上がる。 (ロードマップは各人より計4回言及)
JAEA)川瀬さん
オンサイトではデブリの取り出しをやっているが課題が多い。オフサイトはセシウム単体を考えればいい。ロードマップの検討を反映、融合し研究(略)、減容をどこまでやるのか、二次廃棄物をどうするのか、学術的にどうおもしろいか。福島のために若い世代が関わり、福島で終わらせるのではなく世界各国に提供できるよう、モチベーションをもってほしい。
VOREWS)松尾さん
土を具体的にどう使っていくのか、その時になってからでは慌ててしまう。国のプロジェクトとしてここに使っていくんだというのが分かれば課題が見え、課題がはっきりすれば研究課題もはっきりする。企業は人的資源を散財できないので、具体的なものを、具体的な使用の途を示してほしい。
三菱総研)篠崎さん
民間企業は組織の存続として売り上げを上げる必要がある。松尾さんの言う通りで、ロードマップを具体化すること。何年ごろブレイクダウン(細分化)するのか明確になる。社内での人材の配置などに説明ができる。あまり具体性がないままだと違う分野に配置せざるを得ない。具体化に期待したい。(具体的、具体化、具体性で5回)
閉めの挨拶
学会長)福島大学 佐藤さん
素晴らしい学会、成果報告だった。2025年ロードマップも出来たし、除染と中間貯蔵は全国の課題になった。最終処分は日本全国の問題だ。イチエフの廃炉もあるし、全国の廃炉も進む、柏崎刈羽も再稼働した。(注:この時すでに不具合で停止していた)
デメリットを正しく理解し、受け入れる社会づくりが必要。その第一歩がこの最終処分になる。2025年まで見届けたい。学会長職は続けていく。
筆者よりオンラインで2点質問しました。
①米国パシフィック・ノースウエスト国立研究所(PNNL)の知見はどの程度(除染に)反映されているのか。
⇒資料が手元にないので具体的にお答えできない。
②東京新聞が報じた中間貯蔵施設内の空間線量が、JESCOの公開データより一桁高いがJESCOは除染したところで測っているのではないか。
⇒土壌貯蔵施設などのそばで測って公表している。東京新聞のデータは当時のまま残されている宅地などで測ったものではないか、そうであれば数値は高くなる。
(高い場所の数値も載せるべきです!)

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