汚染土を使う陶芸、土壌の販売も 若者による「風評払拭」プロジェクト続々

 廃炉や除染関連などの膨大な原発事故後始末事業に加え、復興政策「福島イノベーション・コースト構想」と称する産業復興のために莫大な予算が投じられています。最近目立つのが、国の事業「地方創生」による若者を対象とした被災地イベントと移住の呼びかけです。地方創生のほとんどは東京に本社を置くコンサルが手掛けているようです。

 福島でのその数たるや、日々情報を追いかけても到底収集しきれないほどですが、中でも本ブログがテーマとする除染・廃棄物関連で、これは特に問題と思われるものを上げてみます。
 


(以下、本文より引用)
合同会社totenとして、HAMADOORI CIRCLE PROJECT(https://hamadoori-circle.com/)に採択いただき、福島県双葉町が抱える土壌の問題に対し、アートの視点から可能性を拓く「未完成の陶芸プロジェクト(別称:FUTABA TOUGEI PROJECT)」をおこなっています。

プロジェクトの背景
2011年の東日本大震災で全町避難となった双葉町は、今も課題に直面しています。 その一つが、町の面積の多くを占める中間貯蔵施設に保管されている、膨大な量の土壌や廃棄物です。 この土壌は、かつて農業や畜産で町を支え、快水浴場百選に選ばれるほどの海水浴場をつくり、伝統工芸品「大堀相馬焼」の粘土としても使われたことのある、とても豊かなものです。 しかし現在は、放射能汚染や県外最終処分に関連する報道などネガティブなイメージと分かちがたく結びついています。 本プロジェクトはこの「土」を安全かつ創造的に活用する一つの事例となることを目指しています。
(略)

主催 : 合同会社toten
協力: 相馬妙見初発神社・東北大学・福島大学 復興・再生まちづくり研究コンソーシアム
(引用ここまで)
 
 合同会社totenの共同代表 川上友聖さんの紹介ページが「双葉町移住・定住情報サイト」にありました。これによると、川上さんの祖母は浜通り出身で、叔父は原子力発電所に勤めておられたものの、ご自身は浜通りとは縁遠かったとのこと。転機になったのは、立命館大学の「チャレンジ、ふくしま塾。」。地域で活躍する人や様々な事業に触発され、双葉町に拠点を置く観光会社へインターンをすることになり、そこでイベント企画などの体験を経て、合同会社を立ち上げたそうです。

 粘土は放射性物質を吸着します。環境省やお抱え専門家の方々は、土壌の粒子に強固に付着した放射性物質は離れず水に溶けださないから安全だとか、たとえそれを触ったり、吸引しても被ばく量は0.000●ミリシーベルトだから安全だなどと反論するでしょう。川上さんはそのような説明を真に受けてこのようなイベントを企画したのだと思います。
 しかし未だ帰還困難区域を多く抱える双葉町で、中間貯蔵施設の汚染土が「ネガティブなイメージ」だから、あえて双葉町の土を使って見せるというのは行き過ぎではないでしょうか。
 ネガティブなのはイメージではなく現実で、レベル7の原子力災害が人為的に起こされたのです。放出された放射性物質は広島型原爆の168倍です。
 東京電力や政府が非を認めていれば、このような異常な状況にはならなかったことは言うまでもありません。

 もう一つ紹介します。

Zutto Soilプロジェクト -飯舘村から考える土づくり-

浜通りから「未来の土づくり」ブランドを立ち上げる!

by 株式会社MARBLiNG

 
こちらは飯舘村に拠点を置く図図倉庫というプロジェクトです。

(引用ここから)
 
プロジェクト概要
福島県飯舘村で、放射能除染に起因する土壌課題をテーマにした新しい園芸ブランドを創出します。図図倉庫を拠点に、金澤バイオ研究所や全国の大学と連携し、村独自の堆肥・肥料を開発。購買者が土づくりを学びながら苗ポットを購入できる「土バイキングZutto Soil」を核とした実店舗を10月にオープンします。

プロジェクトの背景
昨年から図図倉庫で「未来の土づくりを研究するガーデンショップブランド」づくりに取り組んできました。飯舘村では除染による土壌や環境課題が残る中、全国の農学部とデザイン学部の学生を集めた「農×デザイン塾」を実施し、新しい園芸ブランド立ち上げのアイディアを育成。その中から生まれた「土バイキングZutto Soil」を園芸ブランドの核として採用しました。また、土壌微生物研究企業の金澤バイオや各農業関連企業、大学との連携も構築し、研究開発と販路開拓の体制が整いつつあります。

プロジェクトのゴール
飯舘村の生活残渣や環境資源の活用方法を村全体で探求する土づくり研究室を設立し、研究者6人、企業5社、大学6校による活動人口を創出します。開発した肥料や土を大規模販売できる体制づくりと販路拡大を進めるとともに、デザインした商品の販路開拓を通じて、図図倉庫のホームページにECサイトを実装。浜通り発のブランドとして課題から商品を作る過程自体が、積極的な活動人口の拡大につながることを目指します。
(引用ここまで)




(上の写真右側が、バイキングスタイルの土販売コーナー)

 フクシマックスの記事によると、図図倉庫は「土壌再生の研究基地」だそうです。主催者の矢野淳さんも、父親が認定NPO法人ふくしま再生の会を立ち上げた影響で、高校生のころから飯舘村に関わり始めたということです。

 飯舘村の帰還困難区域である長泥地区では、環境省が汚染土再利用の実証事業を2018年から実施しており、実質的にその後押しをするものです。
 
 無責任な国が主導する若者を利用した放射能安全キャンペーンが留まるところを知らず拡大していくこと、それに乗じて大勢の若者が被災地に集まり、被ばくを余儀なくされていることに一層危機感を強めています。

コメント

  1. 立命館大学は2011年には福島大学にいた丹波史紀教授ですね。
    https://digital.asahi.com/articles/AST9J3W3DT9JUGTB009M.html

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    1. コメントありがとうございます!朝日新聞の記事、拝見しました。消されないうちに引用します。
      (以下引用)
      立命館大の学生たちのフィールドワークの主な内容
      1回目現地訪問(8月1~3日)

      (初日)浪江町津島地区の羽附(は・つけ)集落を視察。町の復興拠点(特定復興再生拠点)から外れたが、昨年1月に特定帰還居住区域に認定され、住民帰還への道筋がついた場所。原発事故後、町役場職員となった津島地区出身の若手女性職員から説明を聞く

      (2日目)復興支援活動をきっかけに、銀行員を辞めて楢葉町に移住した若手男性や、「チャレンジ、ふくしま塾。」に参加したのちに浜通りで起業した立命館大卒業生から話を聞く。双葉町ではJR双葉駅前に整備された町営住宅を視察

      (3日目)学生時代に大熊町に通い、町の名産だったキウイの再生を始めた男性や、川内村で地元の水を使って「世界一のクラフトジン」づくりに挑む若者から話を聞く

      2回目現地訪問(今月14~16日)

      (初日)大熊町の帰還困難区域や、JR大野駅前に今春に完成した産業交流施設や商業施設を視察

      (2日目)産業交流施設内にある中間貯蔵事業情報センターで中間貯蔵施設についての説明を受ける

      (3日目)義務教育学校やこども園が一体となった大熊町の教育施設「学び舎(や) ゆめの森」を見学

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