投稿

1月, 2025の投稿を表示しています

一般公衆には不親切、閣僚には親切?なパブコメ解説

イメージ
 環境省の省令改正案パブリックコメントが、異様に分かりにくくなっています。ジャーナリストのまさのあつこさんも「 史上最悪のとっつきにくいパブコメ 」と書かれていますが、法律の専門家ですらも首を傾げるような内容なのです。  関連情報を探していると、閣僚会議の資料があることが分かりました。  12月20日、「 福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議 」という読んで名の如しの主旨の全閣僚会議が大きなニュースとともに開催されました。これだけでも、汚染土再利用がいかにビッグな「 世界初の一大ナショナルプロジェクト 」(国家戦略)であるか、同時にそれがいかに困難なものであるか、を表しています。  その閣僚会議ですが、実はその下に「幹事会」が置かれ、1月9日に開催されていることが分かりました。   福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議幹事会  そこでの配布資料には、パブコメにはない、こんな資料があります。   (参考資料)再生利用基準省令案の概要  [未定稿]  この部分はパブコメではこうなっています。  本パブコメでは縦書きで「とっつきにくく」なっている上、四角の枠の中の部分がありません。パブコメが分かりにくい原因の一つは、「法第何条何項何号の何々の規定による」などが多用されていて、法律や省令を逐一辿らなければならないことです。しかしながら閣僚に対する資料では、辿らなくても良いように親切に引用されて明示されており、しかも余計な部分を省いて「ここだけを読めば分かります」と言うように「あんちょこ」的にまとめてあります。(未定稿とは言え) なぜパブコメにはこのような解説がついていないのでしょうか。  ただこの解説は汚染土再利用の部分だけで、埋立処分についてはありません(パブコメにはあります)。汚染土再利用そのものが目的化しており、閣僚会議がそれを目指したものだからでしょう。「除去土壌等の 県外最終処分の実現に向けた 再生利用等推進会議」と銘打った閣僚会議であり、「国家戦略」でありながら全体を見ず、個別の目的だけを見る、これも拙速でご都合主義的なものに見えます。   パブコメの条文案には、法令をいくら辿っても意味不明、「 法律の専門家ですらも首を傾げるような」 表現が散見されますが、長くなるので別の機会に譲りたいと思います。  そ...

1.31 抗議行動・傍聴参加の呼びかけ

イメージ
抗議行動・傍聴参加の呼びかけ 環境放射能除染学会の講演会があります。環境省や研究者らが登壇する予定です。 13:30~会場の外で抗議スタンディングを行います。 ぜひご参加をお願いします。可能な方はその後会場に入り一緒に講演を傍聴しましょう。産官学による住民を無視した汚染土再生利用「国家戦略」の実態をぜひ知ってください。 2025年1月31日(金)14:00~16:30 日比谷コンベンションホール ★スタンディングにご参加いただける方はご連絡ください   finnovawatch*gmail.com 和田(*を@に変えて下さい) チラシは こちらからダウンロード できます。

汚染土再利用・最終処分 省令改正案パブコメに意見を出そう

イメージ
  汚染土再利用・最終処分のための省令改正案が パブリックコメント にかかりました。  環境省は、多くの反対の声を無視して汚染土の再利用を強行しようとしています。今の法律ではできないため、省令・告示案を発表し、パブリックコメントの募集を開始しました。福島第一原発事故で放射性物質に汚染された汚染土を、全国で道路の盛土などに利用する計画です。  あなたのまちに放射能汚染土がやってくるかも知れません。放射線被ばくはできるだけ少なくすべきところ、“多少の被ばくは受忍せよ“と言うことです。 パブコメで「被ばくしない権利」を主張しましょう! ◆締切り  2月15日(金)24時 意見は何回でも提出できます。  放射能拡散に反対する会は、汚染土再利用の問題点を分かり易くまとめたチラシをつくりました。あなたもこれを参考に、パブコメに挑戦してください。多くの反対意見で、環境省の暴走を止めましょう。 パブリックコメントのページ パブコメ問題点と参考意見 チラシダウンロード    なお、今回は汚染土再利用について述べていますが、省令案・告示案には「 埋立処分 」についても提示されています。引き続きこの件にも触れていきたいと思います。  また、分かりやすい解説を改めて提供する準備を進めていますので追ってご案内いたします。 ※転載も歓迎です。 【問題1:放射性物質は集中管理が原則】 コメント例⇒ 放射線はどんなに少なくても危険です。特に妊婦、乳幼児、子どもへの影響は甚大です。これ以上の被ばくを避けるためには放射性物質の集中管理が原則です。放射能汚染した土壌を「再生利用」と称して全国にばらまいてリスクを拡散させるべきではありません。 解説〕放射能から人を守るための大原則 【問題2:被ばく線量・影響の過小評価】 環境省は8,000Bq/kgの土壌を再利用しても追加被ばく線量は年間1mSv以下で、問題はないと主張しています。とんでもない! 除染当時、環境省がさかんに言っていたように「1mSvは安全と危険の境目(1mSv以下は安全)ではありません。」  コメント例⇒ 汚染の少ない地域に汚染土を持ってくること自体が放射能汚染の追加であり、さらに想定外の自然災害が多発している近年、汚染土が流出すれば回収できません。 放射能汚染された粉塵による内部被ばくも心配です。 〔解説〕   年1mS...

2024.12.17 院内集会アーカイブ動画をアップしました

イメージ
 遅くなりましたが、2024年12月17日に開催した院内集会の動画をアップしました。 2025年1月13日現在、YOUTUBE視聴数は1084となっており、大変注目を集めています。 登壇者の方々お一人お一人から大変貴重なご報告をいただきました。まだの方はぜひご覧ください。 20241217 UPLAN あなたのまちに放射能汚染土がやってくる~止めよう汚染土再利用! UPLANさん、いつもありがとうございます。

最終処分は最大7億ベクレル、ドラム缶25本分 環境省が20日に考え方を公表

イメージ
★更新情報 最下段に遠藤和人国立環境研究所廃棄物・資源循環研究室長の土木学会での研究発表スライドのリンクを追加しました。   2025年1月11日の福島民友一面トップに以下の記事が掲載されました。 除染廃棄物の最終処分3案 環境研まとめ、最大減容で13トン 2025/01/11 07:50  有料記事  東京電力福島第1原発事故後の除染で出た廃棄物の最終処分を巡り、国立環境研究所が実現可能な技術的選択肢を検討し、3案にまとめたことが10日、分かった。最終処分対象物の放射能濃度は1キロ当たり9万~7億ベクレルで、濃縮して体積を減らす「減容化」を最大限実施した場合、廃棄物量は13トン(ドラム缶25本分)と小規模になる。環境省は20日にも最終処分の考え方を公表する方向で調整しており、この研究成果を参考... 福島民友より  最終処分に向けた処分対象廃棄物の試算はこれまでにも何度も 公表 されてきましたが、今回の13トンという結果はそれらをはるかに下回る量です。ぎりぎり最大限まで減容化して、濃縮するということです。  中間貯蔵施設で、以前JESCOからこう説明を受けました。 「 減容化は技術的にはどこまででもできる。要はどこまでカネをかけるかだ 」  上記は3つの案を並べていますが、最もお金をかける「最大濃縮」シナリオになる可能性が大だと思います。  上記の表によると、最終処分量が13トンの場合、 49万トンの二次廃棄物 が出ると試算していますが、これは最終処分に入らず、これも 再生利用 される可能性が高いです。実際そのような実証研究をこの14年間これでもかと実施しているのです。  こうやって放射能をこねくり回すほど、どんどんお金が落ちるわけです。原資はもちろん私たちの税金です。  以下、民友の紙面より、ポイントと関連情報を列挙します。 ●7億ベクレルは「低レベル」に相当、コンクリートの遮断型処分場に  現在の放射性物質汚染対処特措法には、7億ベクレルのような高濃度の基準はありません。以下の 有識者ワーキンググループ資料 には、 除染の関係なので同法で扱う としています。 ●「省令改正」という問題  同紙記事によると、環境省は1月20日に 最終処分の考え方 を公表する予定であるということです。  これは、これまでの「 汚染土再生利用の基本的考え方 」と同様、まず考え...

ストロンチウムを測定すべき 

イメージ
  環境省は、汚染土再利用を含む汚染廃棄物後始末について、有識者会議「 中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会 」で2015年より議論をしています。 過去の議論を見直していて、気になる点がありました。 戦略検討会第15回(2023年10月17日)  石井慶造東北大学大学院名誉教授によるこんな発言です。 問題はセシウム以外の放射性核種というのが、実は帰還困難地域で、結構高い可能性がある という話をしたいと思います。48ページに除去土壌は、 ストロンチウム90 が2.5 Bq/kgで、これは以前からあった濃度と同じだとしていますが、これは除去土壌なので、放射能濃度が高いところから持ってきたものではないですね。大体は福島県の濃度が低いところから持ってきて、しかも5cm厚の土を取っているので、薄まっているのです。だから、もともとあったストロンチウムの濃度が薄まっているということになります。文科省が2011年に調べた結果では、表面の濃度の測定値を見ると大体100分の1です。これは、飯舘村とか浪江とか川俣とかといった領域の話です。それらから外れたところは結構低くなってるので、しかもは薄まっているので、当然こういう低い値になるだろうと考えられますので、これが基本だとは思わないで欲しい。今言った飯舘とか川俣とか浪江とか、そういった原子力発電所に近いところではストロンチウムの濃度が高い可能性があります。実際、茨城大の先生が、毎年魚を渓流に放流してその汚染状況を調べているんですけれど、その魚が、川に飛び込んでくる虫を食べているようですけれど、汚染されているようです。すなわち、その虫が汚染されてるわけで、そのあたりは汚染されてると考えられる訳です。魚からはセシウム137だけでなくストロンチウム90も一緒に観測されます。そういうわけで、原子力発電所に近い地域でのストロンチウム90の測定をしっかり行うことを、住民の安心のために将来に向けた計画に入れておかないといけないと思います。特にセシウムは体に入っても、僕みたいな年寄りでは大体70日ぐらいでその半分が出ますが、 ストロンチウムは一旦取り入れたら50年経たなければ半分にならない んですね。 ストロンチウム90の生物学的半減期は物理的半減期よりも長い んですね。従って、 新たにストロンチウムを摂取するということは蓄積して...

1.15 汚染土再利用緊急オンラインイベントのご案内

  今年もよろしくお願いいたします。  まもなく汚染土再利用に向けた省令改正パブコメが予定されています。以下、原子力市民委員会と共催で緊急オンラインイベントを行います。奮ってご参加のほどお願いいたします。 _________________________    緊急オンライン・リレートーク         放射能に汚染された土の無秩序な拡散につながる    「除去土壌の再生利用」はありえない _________________________ 日本政府(環境省)は、福島第一原発事故後の除染で大量に発生した放射能に汚染された土を、全国各地で「再生利用」する準備を進めており、年明け早々にも省令案をパブリック・コメントにかける予定です。 現在、福島県内に貯蔵されている約1300万㎥の汚染土について、いったん法律で「県外で最終処分」することを定めたものの引き受け先がないため、「最終処分量を減らす」ためにおこなわれる事業です。 本来、放射性物質は集中管理が原則であり、この事業は、膨大な費用かけて回収したものをふたたび膨大な費用をかけて拡散させることの問題もさることながら、再生利用を進めることによる環境汚染・健康リスクの問題、法令上の不備などさまざまな問題をかかえており、地域の新たな分断にもつながりかねず、実施させるわけにはいきません。 実は、環境省は4年前にも省令案をパブコメにかけており、この時は省令改正を見送りました。その際、原子力市民委員会(CCNE)は以下の声明を発出していますが、当時指摘した問題は何ら解消されていません。 https://www.ccnejapan.com/?p=10796 改めて、この再生利用の問題を整理し、環境省による放射能の拡散を阻止するための契機にしていただければと思います。ぜひご参集ください。 ■日 時: 2025年1月15日(水)14:30~16:30 (最長17時まで)【オンライン(Zoom)開催】 ■プログラムと出席者(予定): (1)リレートーク(各10~15分) 「住民置き去り、福島復興という「欺瞞」の中での汚染土再利用」     / 和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会、放射能拡散に反対する会)  「除染土再生利用をとりまく法制度上の問題」     /...