中間貯蔵施設の現状(2024年7月18日)

 平塚の保養グループ「福島の親子と共に・平塚」の皆さんと、ツアーに行きました。初日は中間貯蔵施設の見学から。現地の現状をお伝えします。(写真はクリックで拡大)

 
 
京都女子中学校が見学したときの写真と感想文。環境省は2022年末まで、15歳以下や妊婦を見学させないことにしていたが、2023年からこのルールを突然変更した。その理由については以下※の通り。


アスファルトくず(再生利用対象)

津波で破壊されたままの熊川そばの公民館

公民館から見える熊川河口付近の橋。すでに完成している模様。中間貯蔵施設終了まであと20年あるにも関わらず、今橋を架ける理由は何なのか不明である。

google map衛星写真で見た橋の画像。右側は「浜街道」が走っている。実はこの浜街道沿いを観光地としたツアーやイベントが企画されている。

浜街道を旅するガイドブック。動画もある。しかし「浜街道」がどこへ続いているのかは、まったく示されていない。





「浜街道」はどこへ続く?




浜街道(緑色の線)右側はイチエフ




浜街道は、中間貯蔵施設内を通ってイチエフの境界付近を抜けて双葉町側へ

そして、相馬の松川浦へと続く(うつくしま浜街道より)


脱線しましたが、再び中間貯蔵見学の模様。
稼働中の仮設焼却炉(大熊町側)

除去土壌(汚染土)を埋めた土壌貯蔵施設の上で測定するJESCO職員。空間線量率は周囲と変わらないことを確認し、「汚染土再生利用の理解醸成」につなげたい狙い


貯木場もあちらこちらに

奥に見えるのは木くずの山(再生利用対象)

サンライトおおくま(介護福祉施設)に設置された展望台から見るイチエフと手前の土壌貯蔵施設




  
コンクリートくず(再生利用対象)

金属くず(再生利用対象)は売却されている。放射能に汚染されていても買い手があるということ。


中間貯蔵施設の用地とされ、潰された鎌田梨園の看板




木くずの山、山、山。環境省は以前、仮設焼却炉で燃やすと言っていたが、筆者は再生利用(バイオマス燃料)に回すと考えている。木質バイオマス発電の燃料は全国で争奪戦となっており、需要はいくらでもある。事実、これまで環境省は中間貯蔵施設以外の木くずを巨費を投じて再生利用に回してきた。これらは「対策地域内廃棄物」として、同省が「燃やして処分」するよりも「再生することにより処分」することという条件付きで産廃業者に丸投げしてきたものだ。
中間貯蔵施設内の木くずも同じ「対策地域内廃棄物」であり、同じ方法により処分すると考える方が理に適っている。
またGXやSDGsの再エネ推進の観点からも、バイオマス燃料に回すと考える方が合理的である。(筆者は放射能拡散の観点からもちろん反対である)



建物などの解体廃材置き場。中間貯蔵施設内の分別施設の解体物も。(再生利用対象)

これら金属くずも売却対象
分別施設はすべてが解体され、このように残骸となって再生利用を待っている。

ちなみに8月1日付で入札公告が出ている。
令和6年度福島地方環境事務所金属くず売払(大熊地区)
鉄くず ヘビー(H3)     130,430㎏  
※上記品目(規格)は概略であり、実際の品目(規格)及び数量については、下見説明会の際に、買受希望者が直接現物を確認し、判断してください。
なお、保管場所の空間線量は0.4μSv/h、金属表面線量0.16μSv/h~0.28μSv/h(令和6年6月現在)
表面線量までμ㏜表示とは・・・



 JESCO職員の制服。許可を得て撮影させてもらった。「カーボンオフセット」は今あらゆる環境政策における号令のようになっている。汚染土再利用においてもこの合言葉が使われつつあることに注意を向ける必要がある。



 この日は汚染土を埋め込んだ盛土実証事業の見学が休止された。この上を1日百台以上の車両通行させる実験を行うため、安全性を考慮してとのことである。

 改めて写真を並べると、ほとんどのものが「再生利用」されていることが分かる。この上、1000万㎥(10トントラック150万台分)もの汚染土まで再生利用するという。環境省は全てに「責任を持つ」と説明するが、信用に足る裏付けはない。結局は「対策地域内廃棄物」同様に、事業者に丸投げして「肩の荷を降ろしたい」だけではないのか。

※中間貯蔵施設の見学ルールの緩和について、環境省は「放射能拡散に反対する会」主催のヒアリングで以下のように回答している。
「被ばく線量が低くなるような見学コースを選定した上で、見学者の方が行動できる範囲を我々のほうで制限させていただいて実施をしているといった状況です。
健康管理のために何を目標値に据えるかですけれども、基本的に我々は国際基準であるICRPの勧告で、公衆の放射線防護のための被ばく線量の基準、年間で追加1ミリシーベルト以内に抑えるというのを、大原則として考えているところです。
これまで、見学コースを実施した時の追加被ばく線量が、0.001ミリシーベルト程度で抑えられているという状況を確認しています。こういった状況の中で追加線量をしっかり抑えられるだろうと、福島県さんと、あとは内閣府さんと、あとは大熊町さん双葉町さんと、事前にご相談をさせていただいた上で、中間貯蔵施設内の見学はしっかり見学者の方の行動を制限して、0.001ミリシーベルトに抑えるということを大前提として、実施をしているという状況です。また、リスクコミュニケーションとして、見学者の皆様に対しては出発前に必ず予想される被ばく線量をご説明し、さらに終了後には実際に被ばくした線量をお伝えしています。」





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