4月5日「除去土壌の再生利用」に関する環境省ヒアリング(速報)

  4月5日13時30分から衆院第2議員会館で「除去土壌」の「再生利用」に関する環境省ヒアリングを行いました。主催したのは「放射能拡散に反対する会」※で、阿部知子衆議院議員(立憲民主党)事務所のご助力で実現しました。

 ヒアリングの前に、衆参両議院控室を回り、配布できる範囲で陳情書とチラシをお渡ししました。「除去土壌の再生利用」と伝えるだけではすぐに理解できない秘書の方もおられ、放射能の意識が遠のいていると危機感が募りました。

 以下、放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会の和田個人のまとめです。(後日、主催者からの正式なまとめと、今後の提案があります)。

 ※【団体賛同の呼びかけ】国際原子力機関(IAEA)専門家会合(第3回)公開を求める要望書(1月31日発出)を呼びかけ団体を中心に、賛同する団体、市民で構成されています。

<結論>

 環境省は、「除去土壌再生利用」を実施するにあたり、事業を開始する前に講ずべきである放射性物質の規制基準・維持管理・管理の終期等について必要な項目を何も定めていない。環境省の説明する「国が責任を持って管理」するとは、放射性物質が安全なレベルとされる100㏃/㎏以下に減衰するまでの期間に生じるすべての事象に対する包括的な責任ではなく、委託業者等との契約上のものに限定される可能性が極めて高い。環境省の責任の所在が曖昧または限定的な「除去土壌再生利用」を、国民的議論も経ず、なし崩し的に省令改正を行って強行することは極めて危険であり、将来に大きな禍根を残す。一旦計画を中止し、情報をすべて開示した上で十分な時間をかけて国民的議論を行い、公開の上で検討された多様な見地からの検討結果を改めて国民に問うべきである。


<問題の整理>

◆環境省は「除去土壌」(=放射能汚染土)を「再生利用」と称して全国で公共事業等に利用するとしているが、放射性物質汚染対処特措法(以下、「汚染対処特措法」)の解釈を一方的に拡大し、国民的議論もなく、国会審議も経ずに省令改正で法制化しようとしている。

◆「再生利用」の基準値を8,000㏃/㎏に定めようとしている。これは、従来のクリアランスレベル(放射性物質として扱わなくてもよいとされる)100㏃/㎏の80倍である。環境省はこの基準値を汚染対処特措法において規定しようとしているが、本法は原発事故の緊急時対応のために制定されたもので、時限的な措置に留め、これを濫用すべきではない。速やかに元の100㏃/㎏に戻す必要がある。

◆汚染対処特措法において、「処分」のカテゴリーに「再生利用」を含めようとしている。廃棄物処理法など既存の法律においてこのような規定はなく、拡大解釈であり、従来の法体系を歪めるものである。

◆環境省は、「再生利用」において発生する事故等を含めたいずれの局面においても責任を持つと口約束しているが、その責任の中身は「再生資材利用者」とされる委託業者等との契約関係においてのみであり、もう一方の契約相手となる「施設管理者」とされる自治体や農業者などに実質的な責任を負わせる可能性が高い。実際に被害を受ける農業者や地域住民への賠償や原状回復などの補償は現時点で何ら担保されていない。

◆放射能の除染は当初から「再生利用」とセットで準備されていた(汚染対処特措法基本方針)が、国民は「再生利用」について何ら説明されてこなかった。除染開始から13年経つにも関わらず、「除去土壌再生利用」に必要な規制事項等は未だ検討中であり、それにかかる予算規模の試算さえしていない。この事業がいかに困難で無謀であるかを表していると言える。

◆全国的な反対の声を封じるために、IAEAのお墨付きを得たいとして専門家会合を非公開で開き、その結論から環境省にとって都合の良い部分だけを切り取って利用するという姑息な手段まで講じている。

◆このような実態であるにも関わらず、2024-25年度を「国民の理解醸成期間」と定め、若い世代、学生などをターゲットに「除去土壌の再生利用」の安全キャンペーンを推進している。「理解醸成」の前に、上記のように講じるべき法整備や規制制度、説明すべき事項が山積している。

当日のヒアリングの趣旨はこちらです。

環境省への質問事項と環境省からの回答はこちらです。

UPLANさんの動画はこちらです。


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第二次締切は5月13日(必着でお願いします)

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