「飯舘YOITOKO発見!ツアー」について飯舘村に質問しました

 11月26日に開催された「飯舘YOITOKO発見!ツアー」について、飯舘村生涯学習課に質問してみました。




←下の右端 長泥地区における汚染土を農地に使い、農作物の栽培実験をしている実証事業現場で、今回はじめて一般向けツアーの見学先に組み込まれたと見られます。
実証事業については環境省サイトをご覧ください。

 このツアーの主催は飯舘村生涯学習課で、環境省のウェブサイトにはなぜか掲載されていません。しかし環境省は、汚染土再利用に向けた全国民的理解の醸成のため、あらゆる機会を作りあるいは利用して、汚染土の安全性をアピールする必要性を繰り返し説いており、本ツアーもその一環であることは明らかです。


長泥実証事業見学情報  



 環境省や関係する有識者らは、長泥実証事業では汚染土を使って栽培した農作物の安全性を強調しており、この場が地元の人達にとって「良いところ」であるなどと定型化され、定着してしまうこと、さらに観光地化されて国内外へ発信され、原発事故は大したことがなかったとする宣伝に利用されることは非常に問題です。

 以下、飯舘村に質問しました。本来なら環境省がその窓口となるべきですが、飯舘村の回答からは環境省の関与が見えないような形にされています。


(質問)

1. 飯舘「YOITOKO」発見ツアーの見学先に長泥実証事業が含まれていますが、この場所が見学地に指定されることになった経緯、また同ツアーを貴課が担当することになった経緯をお聞かせください。

2. 本ツアーに同行する公人(行政担当者、有識者(退職者含む)など)また企業関係者がいる場合は社名をお知らせください。

3. 本ツアーの環境省との費用分担はどのようになっていますか。

4. 長泥実証事業が「良いところ」であるとの理由をお聞かせください。ご存じのように環境省は県外で汚染土再生利用実証事業を計画しており、対象地域の地域住民からは反対の声が上がっています。これらの地域住民の立場から見ると、実証事業が「良いところ」とされることは許容できることではありません。長泥実証事業が「良いところ」とされるのであれば、他の実証事業も同様に「良いところ」であり、観光地として集客できる場になり得るとお考えでしょうか。


(回答)

 令和5年12月1日付でお問い合わせいただいた件につきましてお答えいたします。

 飯舘YOITOKO発見!ツアーは、飯舘村の現状を実際に見てもらい、様々に感じていただくことで、多くの方に飯舘村のファンになっていただきたいとの趣旨で、昨年度より開催している事業で、今回で5回目となります。

 これまで、二枚橋や大倉・八木沢・比曽など、毎回村内の様々な地区を訪れ、地区に残る文化財や民俗芸能など、参加者に飯舘村の多様な側面を見ていただいております。

 今回は、この春に特定復興再生拠点区域ならびに長泥曲田公園の避難指示の解除がなされたばかりの長泥地区などをまわり、地元の方々にこれまでの苦労や今後への見通しなどについて話を伺いました。

 お問い合わせいただいた件につきましてお答えいたします。

 まず、お問い合わせの1点目のご質問の長泥を今回の訪問先に入れた経緯についてですが、先に述べましたように本ツアーは「村の現状を実際に見てもらい、様々に感じていただく」ことを目的に実施しております。

 ツアーごとの訪問先等につきましては、村民等からなる検討委員会で検討しており、今回、長泥地区をツアー先の場所に含むことが決定したことから検討委員会での協議を踏まえて各地区の歴史や現在を、見て、聞いて、感じるために必要なコース順・内容等について弊課内で決めたものです。

 次に2点目のご質問についてですが、ツアーは、弊課の課員および前述の検討委員会とで運営致しております。参加者は広く一般公募しております。

 次に3点目のご質問ですが、環境省からは費用は一切いただいておりません。

 次に4点目のご質問について、「YOITOKO(よいとこ)」はこの事業のタイトル名であり、長泥のみを指すものではありません。飯舘村の現状をつぶさに見ていただき、その中からお一人お一人の感じる「YOITOKO」を見つけてほしい、という意味でタイトルをつけさせていただいております。


 上記「村民等からなる検討委員会」について、構成員と開催履歴、また3.11以降の派遣職員について再度質問したところ、回答がありました。

 委員は6名で、村民5名及び震災前より本村に深く関わっていただいている学識経験者1名で構成しております。

 今年度はこれまで4回の検討委員会を開催しております。また、年度内に佐須地区を中心としたツアーの開催を予定しており、それに向けての委員会開催を予定しておりますが、日程は現段階では確定しておりません。

 震災以降、生涯学習課に村以外からの派遣職員は、全村避難中の平成26年度から平成27年度までの2年間、他市町村からの応援職員1名が在籍しておりました。そのほかの派遣・出向等はございません。

 学識経験者1名の名前は、本人の了解が確認できませんので、誠に申し訳ありませんが本メールでの回答ができない旨、ご了承ください。

 なお、所属区分は、福島県内大学の先生となっています。

 学識経験者の氏名は残念ながら公表されませんでした。






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